ビジネスモデルは特許になるの?横浜の特許事務所が分かりやすく解説します!

「このビジネスアイデア、他社に真似されたくないな…特許で守れないだろうか?」
新しいビジネスを立ち上げた方や、画期的なサービスを思いついた方なら、一度はこう考えたことがあるかもしれません。
結論から言うと、特定の条件を満たせば、ビジネスモデルも特許になります。
しかし、「単なるビジネスのやり方」というだけでは特許にはなりません。そこにはいくつかの重要なポイントがあります。
この記事では、
- そもそも「ビジネスモデル特許」とは何か?
- 特許になるビジネスモデルの3つの条件
- 具体的な特許の事例
- 特許にするメリット・デメリット
などを、誰にでも分かるように、かみ砕いて解説していきます。自社のアイデアを守るためのヒントとして、ぜひ最後までお付き合いください。
そもそも特許とは?基本のキ
まず、特許制度の基本をおさらいしましょう。
特許とは、簡単に言うと「すごい発明をした人に、一定期間その発明を独占できる権利を国が与える」という制度です。
そして、特許の対象となる「発明」は、特許法で「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」と定義されています。
…ちょっと難しいですね。
ポイントは「自然法則を利用した技術」という部分です。例えば、「電気で機械が動く」「物を燃やすと熱が出る」といった自然界の法則を利用していることが前提となります。
そのため、以下のようなものは特許の対象外となります。
- 単なる人為的なルールや決め事(例:新しいゲームのルール、新しい会計方法)
- 人間の頭の中だけの考え(例:計算方法、暗号の作り方)
- 自然法則そのもの(例:エネルギー保存の法則)
「ビジネスモデル」は、多くの場合「人為的なルールや決め事」にあたるため、アイデアそのままでは特許にならないのです。
では、どうすれば特許になるのでしょうか?
「ビジネスモデル特許」の正体とは?
そこで登場するのが「ビジネスモデル特許」と呼ばれている発明です。
これは通称で、正式な法律用語ではありません。一般的に、ビジネスの方法をコンピュータ・ソフトウェアやインターネットなどのICT(情報通信技術)を使って実現した仕組み(発明)のことを指します。
ビジネスモデルのアイデアそのものではなく、そのアイデアを「IT技術を使って具体的にどう実現するか」という仕組みが特許の対象になります。
IT技術(ソフトウェアやコンピュータ)を使うことで、先ほどの「自然法則の利用」という条件を満たすことができるのです。コンピュータが内部で行っている情報処理は、物理的・電気的な法則(自然法則)に基づいて動いているためです。
【重要】特許になるビジネスモデルの3つの条件
あなたのビジネスモデルが特許になるかどうかは、以下の3つの条件を満たしているかどうかが大きな判断基準となります。
条件1:ソフトウェア(コンピュータ)で具体的に実現されていること
これが大前提です。単なるビジネスのアイデアではなく、「どのような情報を入力し」「コンピュータがそれをどう処理し」「どのような結果を出力するか」といった、ソフトウェア上での具体的な仕組みが必要です。
- OK例: 顧客の過去の購買履歴データと気象データをAIが分析し、最適なクーポンを自動で配信するシステム。
- NG例: 雨の日にお客さんにクーポンを配るというアイデア。
条件2:新しいこと(新規性)
そのビジネスの仕組みが、特許を出願する前に世の中に知られていない、全く新しいものである必要があります。雑誌やインターネットで既に公開されていたり、誰かが既に実施していたりするものは特許になりません。
注意点: 画期的なアイデアを思いついても、特許出願前にブログやSNSで公表してしまうと、この「新規性」が失われてしまう可能性があります。
条件3:簡単に思いつけないこと(進歩性)
その分野の専門家(同業者)が、既存の技術やアイデアから簡単に思いつくようなものではない、一歩進んだ工夫や技術的な特徴が必要です。
例えば、単に「これまで手作業でやっていた顧客管理を、パソコンのデータベースソフトでできるようにしました」というだけでは、進歩性が認められない可能性が高いです。そこに独自のデータ分析手法や、これまでにない便利な機能などが加わっている必要があります。
どんなビジネスモデルが特許になっているの?【具体例】
言葉だけではイメージしづらいと思うので、具体的な事例を見てみましょう。
- 飲食店の順番待ち・予約システム
- 顧客がスマートフォンや店頭の端末で順番待ちの受付をすると、順番が近づいたら自動で通知が届く仕組み。待ち時間のイライラを解消するというビジネス課題を、IT技術で解決しています。
- ポイント管理システム
- 複数の異なる店舗で利用した際に付与されるポイントを、サーバー上で一元管理し、顧客が自由に交換・利用できる仕組み。
- オンラインショッピングのレコメンド機能
- ユーザーの閲覧履歴や購買履歴を分析し、「この商品を買った人はこんな商品も見ています」と関連商品をおすすめするシステム。
- FinTech(フィンテック)関連
- スマートフォンのアプリを使った決済システムや、AIを活用した新しい融資審査モデルなど、金融とITを組み合わせた分野で多くの特許が生まれています。
かつてAmazonが取得した、ECサイトでボタンを一度クリックするだけで決済が完了する「ワンクリック特許」は、ビジネスモデル特許の象徴的な事例として非常に有名です。
メリットとデメリットを知っておこう
最後に、ビジネスモデルを特許にするメリットとデメリットを整理しておきましょう。
メリット
- 独占権による模倣防止
- 最大のメリットです。他社が同じような仕組みを真似するのを防ぎ、ビジネスの優位性を保つことができます。
- 企業の信頼性・ブランド価値の向上
- 「特許取得済」とアピールすることで、技術力の高さを証明し、顧客や取引先からの信頼を得やすくなります。
- ライセンス収入の可能性
- 他社にその特許技術の利用を許可(ライセンス)することで、ライセンス料という新たな収益源を生む可能性があります。
デメリット
- 費用と時間がかかる
- 特許の出願には、特許庁に支払う印紙代や、専門家である弁理士に依頼するための費用がかかります。また、出願から審査を経て権利を取得するまでには数年かかることも珍しくありません。
- 出願内容が公開される
- 特許を出願すると、一定期間後にその内容が世の中に公開されます。権利が取れなかった場合でも公開されてしまうため、アイデアをオープンにしてしまうリスクがあります。
- 必ず特許になるとは限らない
- 厳しい審査があるため、出願したからといって必ず特許として認められるわけではありません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回の内容をまとめます。
- 単なるビジネスのアイデアは特許にならない。
- アイデアをIT技術(ソフトウェアなど)で具体的に実現した仕組みであれば、特許になる可能性がある。
- 特許として認められるには、「新規性」や「進歩性」といった条件をクリアする必要がある。
- 特許には模倣防止などの強いメリットがある一方、費用や情報公開のリスクもある。
自社のビジネスの根幹をなすユニークな仕組みを思いついたのであれば、それは重要な経営資源です。他社に簡単に真似されてしまう前に、「特許」という形で権利を守ることを検討してみてはいかがでしょうか。
もし「うちのこの仕組み、特許になるのかな?」と少しでも気になったら、一度、特許の専門家である弁理士に相談してみることをお勧めします。
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