商標の「区分」って何?あなたのビジネスを守るための重要知識

自分のブログ名やサービス名、ロゴマークなどを守りたい!そう思って「商標登録」を調べ始めると、必ず出てくるのが「区分」という言葉。
「区分って何?なんだか難しそう…」 「どの区分を選べばいいのか分からない!」
そんな風に感じていませんか?
実はこの「区分」、あなたの大切なブランドを正しく守るために、めちゃくちゃ重要なんです。 この記事では、商標の「区分」とは何か、なぜ必要なのか、そしてどうやって選べばいいのかを、初心者の方にも分かりやすく解説していきます!
◆ 結論:商標の区分とは「商品・サービスのカテゴリー」のこと
まず結論から。商標の「区分」とは、一言でいうと「商品やサービスのカテゴリー」のことです。
スーパーマーケットを思い浮かべてみてください。「野菜コーナー」「お肉コーナー」「お魚コーナー」「お菓子コーナー」など、商品ごとに売り場が分かれていますよね。
商標の区分は、これとまったく同じ考え方です。 特許庁があらかじめ、世の中にあるすべての商品やサービスを、内容に応じてカテゴリー分けしているのです。
このカテゴリーは、国際的なルール(ニース分類)に基づいて全部で45種類あります。
- 第1類〜第34類:商品(化学品、医薬品、食品、機械、アパレルなど)
- 第35類〜第45類:サービス(役務)(広告、金融、飲食店の経営、教育、ウェブサイトの運営など)
商標登録をする際は、「この名前(ロゴ)を、このカテゴリー(区分)で使います!」とセットで宣言(出願)する必要があるのです。
◆ なぜ区分が必要なの?権利の範囲を決める「陣地」です
「なんでわざわざカテゴリー分けなんてするの?」と思いますよね。 区分が重要な理由は、商標権の効力が及ぶ範囲(=権利の範囲)を決めるためです。
商標権は、登録した「商標(名前やロゴ)」と「区分(指定した商品・サービス)」のセットに対して発生します。 つまり、あなたが選んだ区分の範囲内でだけ、独占的にその名前を使う権利が認められるのです。これを権利の「陣地取り」に例えると分かりやすいでしょう。
<例>お菓子の「きのこの山」と旅館の「きのこの山」
例えば、有名なチョコレート菓子に「きのこの山」がありますね。これはもちろん商標登録されています。 では、もしあなたが長野県で「きのこの山」という名前の旅館を始めたら、商標権の侵害になるでしょうか?
答えは「No」です。
なぜなら、お菓子の「きのこの山」は第30類(菓子及びパン)という商品区分で登録されているのに対し、旅館業は第43類(宿泊施設の提供)というサービス区分に属するからです。
このように、たとえ同じ名前でも、区分(カテゴリー)が違えば、お互いのビジネス分野が異なるため、別の人が登録できる可能性があるのです。(※ただし、あまりにも有名なブランドの場合は、不正競争防止法などの観点から問題になるケースもあります)
逆に言えば、もしあなたが区分を間違えて登録してしまうと、本当に守りたいビジネスの範囲で権利が取れず、いざという時に「あなたの権利範囲はそこじゃないですよ」と言われてしまう、意味のない権利になってしまう危険性があるのです。
◆ ブログ運営者が知っておきたい区分の例
では、具体的にブログやウェブサイトを運営している方は、どんな区分を検討すれば良いのでしょうか? あなたのサイトの目的によって、関係する区分は変わってきます。
| 区分 | 主な内容(例) | こんな人におすすめ |
|---|---|---|
| 第9類 | ダウンロード可能な電子出版物、スマートフォン用のアプリ、音楽ファイル、映像ファイルなど | 自分で作ったPDF教材や電子書籍をダウンロード販売している人 |
| 第16類 | 雑誌、書籍、新聞、写真、文房具類など | ブログの内容をまとめて紙の書籍として出版する可能性がある人 |
| 第35類 | 広告業、経営のコンサルティング、オンラインモールにおける商品の小売、求人情報の提供など | アフィリエイト広告で収益を得ている人、オンラインサロンの運営支援、自分のサイトで他人の商品を販売するプラットフォームを運営している人 |
| 第41類 | 電子出版物の提供(ダウンロード不可)、セミナーの企画・運営・開催、書籍の制作、教育、オンラインゲームの提供など | ブログ記事のようにウェブ上で情報を読ませるサービス、有料のオンラインセミナーや講座を開催する人 |
| 第42類 | ウェブサイトの作成・設計・保守、ソフトウェアの設計・開発、サーバーの貸与など | ウェブデザインやプログラミングのサービスを提供している人、SaaS(Software as a Service)を提供している人 |
【ポイント】 例えば、同じ「電子書籍」でも、ダウンロードして販売する場合は「第9類(商品)」ですが、サイト上でログインして読ませる(ダウンロードさせない)場合は「第41類(サービス)」となり、ビジネスの提供形態によって区分が変わってくるので注意が必要です。
◆ 自分の区分はどうやって選ぶ?3つのステップ
- 今のビジネスを書き出す まずは、そのブランド名(ブログ名など)で、具体的にどんな商品やサービスを提供しているかをすべて書き出してみましょう。「ブログで広告収入を得ている」「PDF教材を販売している」「オンラインコンサルをしている」など、具体的に書くのがコツです。
- 将来の展開を考える 次に、将来的にそのブランドでやってみたいビジネスも考えてみましょう。「ゆくゆくは書籍化したい」「オリジナルのグッズを作って売りたい」「有料セミナーを開きたい」など、少し先の未来を想像することが大切です。将来の事業の分まで陣地を確保しておくことで、ビジネスの成長に合わせてブランドを保護できます。
- J-PlatPatで調べる or 専門家に相談する 書き出した事業内容をもとに、どの区分に該当するかを調べます。特許庁のデータベース「J-PlatPat」を使えば、類似のサービスがどの区分で登録されているかを検索できます。
しかし、区分の判断は非常に専門的で複雑です。 「これで合ってるかな…?」と不安な場合や、絶対に失敗したくない場合は、弁理士などの専門家に相談するのが最も確実で安心です。
◆ まとめ:区分選びはビジネスを守るための第一歩!
最後に、今日のポイントをおさらいしましょう。
- 商標の区分とは「商品・サービスのカテゴリー」のこと。
- 権利の範囲を決める重要な「陣地取り」であり、これを間違えると意味がない。
- 自分の現在と未来のビジネスを洗い出して、適切な区分を選ぶ必要がある。
- 判断が難しい場合は、迷わず専門家に相談しよう!
商標登録の費用は、選ぶ区分の数によって変わります。無駄なく、でも確実に。正しい区分を選んで、あなたの大切なブランドを守り育てていきましょう!
弊所では、ビジネスの内容をお伺いして区分を決めていきます。そのようなご相談は無料で可能です。ご自身のビジネスがどういった区分を選択して商標登録したらいいか分からない、という方は下のLINE公式からご相談下さい。










